浪江原発訴訟

原告団・弁護団

ごあいさつ

浪江原発訴訟原告団 団長 鈴木正一

浪江原発訴訟原告団
団長 鈴木正一

浪江町原発ADR集団申立てから手続打ち切りまでの5年間、東電は2回の総合特別事業計画を発表し、その都度「東電としては・・・原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解仲介案を尊重する」とは言いつつも、「中間指針」を根拠にして6回拒否するという自己矛盾に陥った、傲慢な態度を繰り返しました。

2018年11月27日、「浪江原発訴訟」を福島地方裁判所に提訴。49世帯109名の原告団は、2次提訴・3次提訴と続いています。ADRは、裁判の外で早急に被災者を救済することを目的に、国が定めた制度です。打ち切られ裁判の中で争うこと自体、制度そのものの破綻を証明。初期の目的を達成させる責任は国にあります。集団訴訟は全国で約30件。一審判決すべてが東電に賠償を命じました。また多くの判決で国の責任を認めています。現在の「中間指針」に基づく被害救済が不十分で、被害の実態を反映したものではないことを改めて浮き彫りにしました。

2019年2月25日衆議院予算委員会で、安倍首相はADRの和解案を東電が拒否し、打ち切られる事例が相次いでいることについて「東電が誠実に対応するよう経済産業省に指導させる」と答弁。同日28日経済産業大臣は同委員会で「東電は今まで以上に個別に丁寧に連絡を取って、和解に至るよう努力すべきだ。そのように東電を指導していく」と答弁。しかし、集団ではなく個別ADRの再申立ての指導は、分断を目的にしたもので集団ADRそのものの否定です。従来の東電のやり方を更に強く勧めるもので、東電に寄り添った指導であきれ返るばかりです。紛争審査会も、「直ちに中間指針の見直しを検討する状況ではない」という態度です。度重なる「中間指針」を超える判決が出されても、政府にそれを改訂する考えはありません。

東電に対する損害賠償請求権は、2021年3月で時効成立です。裁判は時効を中断させます。私どもの目的を達成するには裁判以外ないようです。東電の時効による責任放棄を許してはなりません。浪江町民の皆様の原告団加入を期待します。

集団提訴にあたって

浪江町支援弁護団 団長 弁護士 日置雅晴

浪江町支援弁護団 団長
弁護士 日置雅晴

2011年3月に起こった東京電力福島第一原子力発電所の事故により自然の中で豊かに暮らしていた浪江の人たちは避難を余儀なくされ、浪江の町と町民の生活はすっかり変わり果ててしまいました。

このような被害に対して、国は原子力損害賠償審査会において事故後に現地も見ないで一方的に賠償方針を中間指針とし定め、東電もこれに沿った範囲での賠償だけを行なってきました。

事故から8年近く経過しましたが未だに指針は「中間指針」のまま放置されていますし、それどころか東電はADRでも従前認めていた責任さえ認めなくなりつつあります。

このような国と東電の対応に対してこれまで浪江町民は町を代理人とするADRによる慰謝料の一律増額解決を目指し立ち上がり、我々もそれを支援してきました。

ADRでは、町が町民の意向をとりまとめ、主張立証などの手続きも町と弁護団の間でほとんど対処出来ました。それだからこそ、町民の方々の負担は限定的な状況で、高齢で仮設住宅に避難しているような方であっても救済を求めることが可能でした。

しかしADRにおいて早期に仲介委員から和解案提示がなされ、町民のほとんどが受け入れを決めたにもかかわらず、東電はこれを合理的理由もなく受け入れを拒否したまま時間だけが経過し、ADR手続きは2018年決裂に至りました。

このような国や東電の対応に対して、浪江町民と我々弁護団は訴訟に立ち上がり、2018年11月に第1陣原告109名による国と東電に対する慰謝料支払いを求める訴訟を福島地裁に提訴するに至りました。

訴訟の場合、ADRのようにほとんどの町民が当事者になるということは困難ですが、原告となった方々は多くの町民の声を代表する形で立ち上がり、最終的には町民全員の救済を求めることを目的の一つとしています。

福島での事故があったにもかかわらず、国は原子力発電の継続を進めています。福島の、浪江の被害者が十分な補償を得られるか否かは、当事者だけではなく、再び事故が起こった際の全国民の利害にも関わる重要な問題です。

今立ち上がった浪江町民の方々と浪江町支援弁護団の活動をご支援・ご声援いただきますようお願い申し上げます。

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